猫を飼う羽目になった。金魚屋のくせに。
家族のたっての願いだったのでしょうがなかった。
(ここには、お魚以外のことは、絶対書くまいと決めていたが。)
が。これが、不細工な子猫で、突然知らないところに連れてこられて、ふくれっ面をしているのと、
床にへばりつくような姿勢でいるのとで、余計に器量が悪くみえる。見ようによっては、
化け猫にみえなくもない。これから、一緒に暮らしていけるのかしらんと危ぶまれた。
案の定、小さいものには、大概与えられる「かわいい」の言葉を誰も言ってくれない。
猫をみたひとからは、無言のなんともいえない不穏な空気が漂うばかりなのだ。
耐えきれなくなった店主がさっきから子猫を見ていたX氏に、
「誰もかわいいと言ってくれない。」
と、ぐちったが、X氏とて苦笑いするしかないようだった。
が。願いが通じたのか、不思議。次にいらしたお客さまがようやく子猫を「かわいい」とおっしゃった。
ユウに4~5人目のお客様である。
それを聞いたX氏、親指をたてて祝福してくださったことであった。
その後、順調に「2かわいいい」ただきまして。計「3かわいい」になりました。
子猫が来てから何を見ても猫に見える。きゅうりを食べるブルーフィンパナクエもなんだか似ている。