「階段落ち~」という言葉がわずか数秒の間、店主の頭に浮かんだ。
当店の店主は超とスーパーがつく粗忽者である。
今までコンクリートの池などで何度も転んでいる。しかし、転んでも転んでもターミネーターのように
無傷でよみがえっていた。無傷だったので目撃者のお客様に知らないところで
大笑いのネタにされたと聞いても一緒に大笑いしたものだが。
今度ばかりは、階段の半分も下りないうちからの転落でシャレにならない事態である。
左手にもった水の入った薬缶がひしゃげ、顎と肘、おでこをしこたま打ち付けた。
すぐに動いてはいけないぞと本能が知らせるので、
しばらく(1分ほど)カエルのように床にはいつくばっていた。
それから。
「っぎ、銀ちゃんカッコイイ。」と。
お若い方にはとんとわからないであろう古い映画のセリフをいいながら立ち上がったが。
第一発見者の家族からは、スパルタな「まったくぅ、気をつけろよ。」との
叱責の言葉が言い放たれた。
「阿呆」とか言われたような気もするが、怒る元気もない。
あれから、数週間。
顎にできた“おひげ”のようなあざも消えたが、なぜか店主は、
いまだに蒲田行進曲をくり返し口ずさんでいる。
レオパードテクノポマ 7~8センチ キレイ。
アフリカンスネークヘッド