忘れてしまいたいことが多すぎる?せいか、店主、近頃記憶力があやしい。
いろんなことを忘れるのは日常茶飯で。街で同級生に会っても完全に記憶から消えていることさえある。
自尊心を傷つけてしまった友を追いかけて「実は、記憶力の低下が、」云々と言い訳したいのだが、
そのままにうっちゃっておる。
これが、仕事のことになると実害を伴うので深刻だ。
先日、お客様よりお魚のお引取りのご依頼があった。運ばれる日は覚えていたのだが、
到着が早朝の開店前であることをうっかり、しっかり、忘れていた。(寝ていた)
お客様は律義に開店の時間まで待ってくださったので、
対面したとき、巨大なシルバーアロワナは瀕死の状態で袋の中で横たわっており、
両の目は、完全に白濁し、ヒレはぼろぼろだった。
いくらなんでもその状態のものは、受け取れないのだが、記憶が飛んだという負い目があり、そのシルバーは当店に住むことになった。
彼は、もはや水槽の中で縦になってじっと動かない。
明日はごみの日だな。などと冷酷、非情なことを思いながら。
子供らの「死んでる。死んでる。攻撃」にあわないよう。バックスクリーンで水槽を目隠しした。
しかし、翌日、Sアロワナ君は、“ゴミ”になんぞならなかった。
それから、何度も何度も燃えるごみの日が過ぎたけれど。
あれから一か月。Sアロワナ氏は今も生きている。
しかも、蘇ったといえるほどの回復ぶりで食事もできるようになった。
前のお宅ではきっと大切に飼われていて体力があったに違いないと思う。
ヨミガエリちゃんと命名。